お天気がぐずった火曜日の夜、みなさまいかがお過ごしですか。
わたしは先週末にイタリアの自然派ワインと言えばっ!なインポーターのヴィナイオータさんが主宰するヴィナイオッティマーナに行ってきました。
お目当ては長年魅了されているブレッサンでした。
ブレッサンといえば崇高な檜のような、香木やお香のような香りが魅惑的でがいちばん好きといってよいつくり手さんです。
魅惑の香りの秘密を質問してみた
セミナーがあって、つくり手さんに質問できたので、勇気を奮い起こしてきいてみました。(どきどき)
スキオッペティーノという品種がその土地でつくられてきた意味
ひとつに、その土地で代々作られてきたスキオッペティーノという品種に由来するというと回答でした。
スキオッペティーノ(リボッラ・ネーロ)は品種は昔からブレッサンの畑のある地方で育てられている品種です。なめらかなタンニンと独特の香りがあり、その香味成分を十分に引き出せる地質がブレッサンの畑にはあるそうです。(具体的には鉄分を多く含む地質でそれがより香味を増幅させるとか)
一方でフリウリを代表する品種の一つはリボッラ・ジャッラは同じくフリウリを代表するつくり手のラディコンやグラヴネルが畑を持つ土地が最適な地質をもっているそうです。(なのでブレッサンが自分の畑でリボッラ・ジャッラを作っても絶対に勝てない)
ちなみにスキオッペティーノをナパで植えたつくり手がいたが3年ほどしてすべて全滅してしまったと皮肉っていましたね(笑)
スキオッペティーノがその土地で代々作られたことにフォーカスして、魅力を最大限に引きだすように苦心されているということでした。
品種の魅力を引き出すために徹底的に待つ
ブレッサンはスキオッペティーノの魅力を引き出すために徹底的に待つことだと。熟すところまで徹底的に待つとブドウの皮は薄くなり、最終的には干しブドウのようにその存在感を感じなくなりますが、それは生き物が生まれて終わりを迎える自然なサイクルで、それにできるだけ近づけるために、待つそうです。
また、それは、はやくすることをよしとする現代のありかたとはまったく違うとも。考える時間がないということはとても危険なことであると。
彼の回答に加えて、奥様イェレーナ(ものすごく美人)のほうのわりとテクニカルな補足も加えるとより理解できるような気がしました。
ブレッサンが畑を持つ土地は自身が多くて、常に土地が揺れているので場所によって組成が違うそうです。そこからワインの味わいを複雑にする要素のひとつにもなっていて、また樽熟成もとても長い時間をとることが、独特の香草のような風味を生む要因になるということでした。
また、これはあとでブースで質問した中ででてきた話ですが、彼のワインにはピノ・ノワール単体のものがあります。彼はフランスで学んだ時に、先生にピノ・ノワールを徹底的にやることがワインを理解することだといわれそこから作ったワインだそうです。これまでの長い歴史の中で培われてきたピノ・ノワールへのアプローチを体得したうえで、土着品種に着手するという安定感が、あの洗練された高貴な香りにつながるのかなと感じました。
唯一無二のワイン
ブレッサンの発言を考えると、
代々の土地がもっている良さと品種の力と徹底的に待つことを軸とした彼のブドウへのアプローチによるものなのかなと思いました。その二つが唯一無二の芳香をつくりあげるのだと。
実際スキオッペティーノのワインはたくさん飲んだことがあるのですが、彼のような味わいにはならないのですよね。やっぱりそこは彼の姿勢や考え方がきいてくるのかと思いました。
待つということは簡単そうに見えるが非常に困難なことだと思います。熟成するためにワインをおいておくことは、経済的にはリスクでしかない(すぐにお金にならない)のに、そのリスクをとってでも作りたいワインなのだなと思うと、もうひとくちひとくち敬意をはらって大切に飲むしかないっ。(ヴィナイオータの記事で2年収穫しなかったともあるとありました。土地と家があるといえ、2年の収入源なしを自ら選んで耐えられますか?凡人のわたしは耐えられないっw)
個人的な思いを最後に加えると、やっぱりつくり手さんに会ってよかったなと思いました。いままで感じていた魅力がよりクリアになって、ワインがそこにあることへの感謝の気持ちがより湧くようになりました。
自分の中でのワインの価値があがり、ワインを飲む時間により幸福を感じるようになった気がします。
それではみなさまもワインとの素敵な時間を
ではまた