ワイン

地味なのにじわじわくるワイン

こんばんは。11月がウソみたいに暖かかった週末、みなさまいかがお過ごしでしたか。

わたしは親族行事だったので、親の買い物に付き合ったり、親族でわらわらと、まち中華を食べたり、近所のお寿司屋さんで息子が爆食いしたりと、なかなか忙しい週末でした。

そんな日でしたが、これは話しておかないといけないワインがそういえばあったので、今日はそのお話をしたいと思います。

自然派ワインのインパクト強めのラベルではなくて

今日お話しするのは、Montefortini FattoriaのCarmignano2018。

見てください、このおとなしいラベル。ワインショップで並んでいたら完全素通りされがちなタイプのラベルです。卒業アルバム見返して、映っているのにどんな子だったか思い出せない・・・そんなようなラベルです。

こちらのワインですが、とってもトラディショナルな感じのラベルですが、自然派のつくり手さんなんですよね。自然派ワインといえば、伝統に喧嘩売ってるの?的なパンク並べる、もしくはエモい手書きイラストチック、もしくはフォントだけで魅せる系のシンプルエチケット、と系統が分かれるわけですが(あくまでも個人的見解)これはどれにも属さない感ありますね。

まあ、自然派のワインってそういうものがたくさんあったりします。

ヴェネツィアのメストレ(郊外都市みたいな感じ)のワインショップで、おばちゃんにvinobiologicoください、って言ったらあの棚のだいたいそうだから、そこから買えばいいといわれましたが、見た目からして全然他の棚と変わらない・・・なんかそういう感じのノリです。

気づいたら何回も指名いれているあの娘

これ、こう見えても自然派なんですよね的にすすめられて、なんとなくいただいたワインですが、行くたびにそうね、あれないですかね、的な話になってしまいました。

あけた瞬間からとてもスムースで、こなれていて、親しみやすくしみじみとした何かがあります。話をしていて、妙に間隔近いな、でもいやじゃない。そんな感じのフレンドリーさ。

チーズが大好きで、お店に特別に頼んで入れてもらっている方とご縁があって定期的にお店でチーズをいただくチャンスに恵まれております。

フランスのものが多いのですが、ウォッシュや山羊など個性的なものが多いので、イタリアの自然派のワインたちと個性がぶつかってワインとの相性に困ることがあります。

そういう中でもこのMontefortini FattoriaのCarmignanoはそこをしっかりうけとめてくれる感があり、アクの強い営業メンバーを何人も抱えている営業事務の中堅女性社員的に個性派チーズの持ち味を生かせてくれます。懐の深さは場数の多さによるところか。

その日あわせたチーズたち

前菜的ないろいろ具材のサラダとも好印象

花形の地域の影にかくれがちなカルミニャーノ

こちらのワンはサンジョヴェーゼ主体のワインです。サンジョヴェーゼというとタンニンのしっかりした酸味もあるわりとインパクトも強いイメージを抱きますが、こちらはそういう印象があまりなく、最初から優しい果実味がまろやかでジューシーに口の中にひろがります。ボディもしっかり余韻もあるけれど決して派手ではない。

カルミニャーノという土地は最小のDOCG地区らしく、周辺のキャンティやらブルネッロなどだれでも知っているような地区におされてひっそりとワインが作られているような印象をうけます。味わいも本日いただいたサンジョヴェーゼながら穏やかな味わいが特徴のようです。

最近ではちょっとそれでは的にパンチのある味わいのものもでてきたようですが、このつくり手さんはそのような潮流には乗らず、伝統的な味わいを守り続けているようです。

ワインの有名さはマーケティングによるもの、本体の味とは別ということ

いろいろとワインを飲むにつれて思うのですが、いわゆる有名なワインが有名な所以はその本質的な味わいの実力もさることながら、戦略的にマーケティングをしかけた結果そうなったものがけっこうあると思っています。特にイタリアワインはフランスワインが国際的に評価されている中で、そこにどうアプローチすれば、その土俵に乗りつつ、独自性を武器に独特のポジショニングを確立できるのか。スーパートスカンについての本を読みつつそんなことを考えていました。

一方で思ったのは戦略的な観点に重きを置かないつくり手さんもたくさんいらっしゃると思います。自分がもっている資源とバックグラウンドの中で、最良のものをごく近くのまわりの人々を楽しませるために真摯に作ることに心血を注いでいる方もいらっしゃいます。

そのふたつを並べた時に、どちらが美味しいかということになると、いろいろな評価軸がありますが、大規模な資本投資をして量産することが難しい自然派ワインだからこそどっちがどうといいにくいものになっているのではないかと思っています。

ただのいち酒のみとしては

とりあえず、今そこにあるワインと、巡り合えるワインのよさをできるだけ大切にして楽しみたいと思っています。ついつい有名なワインや話題になりがちなワインが気になってしまいますが、それがマーケティングによるものなのか、本質的なものなのか、もっといえば今の自分に必要なのか、ハッピーにふらふら飲みながらも、頭の隅っこで捉えておきたいなと思う今日この頃です。

それではみなさまも素敵なワインとの時間を

ではまた

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名前:#Carmignano Montefortini
ヴィンテージ:2018
生産地:#トスカーナ
つくり手:#Fattoria Ambra
主な品種:サンジョヴェーゼ、カベルネ ソーヴィニヨン、カナイオーロ、マンモーロ

インポーター:#テラヴェール
香り:赤いベリー
味わい:まろやかな果実味、濃やかでやさしいタンニン、適度な余韻、
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